こんにちは、Ocarです。
この記事は、
✔ お子さんの、”見る力”が弱いのでは?と思っている
✔ お子さんが、WISC-Ⅳで 知覚推理指標(PRI)が低いと言われた
✔ ビジョントレーニング、コグトレ、認知機能トレーニングに興味がある
というママ・パパに向けて書いています。
最後まで読むと、
・”見る力”=知覚推理能力 とはどんなものなのかが分かります
・”見る力”が弱いと、どのような困りごとがあるのかが分かります
・”見る力”が弱い子の、認知機能向上のためのトレーニング方法が分かります
“見る力”とは何か?
知覚推理指標(PRI)に現れる
我が家のひとり息子である ”たまごちゃん”は、年長の時にWISCⅣという知能検査を受けた結果、「知覚推理指標(PRI)」だけが突出して低いことが分かりました。
※知覚推理指標 = Perceptual Reasoning Index(略して PRI)
つまり、能力ごとの発達に差がある、いわゆる「発達凸凹・グレーゾーン」と言われるこどものひとりです。
※このサイトでは、グレーゾーン ⇒ カラフルキッズと言い換えています。
「知覚推理指標(PRI)」とはどういう能力かというと、
非言語による推理力、理解力。
空間認知能力。
視覚ー運動協応。
ということのようです。
・・・つまり、
目で見た情報を正しく認識して理解し、使うこと と言えそうです。この能力が、他の能力に比べてとても低いたまごちゃん。
検査結果の説明を聞いて、
ああ、あれもこれも、たまごちゃんの
脳の特性だったのね!!
と、腹おちすることがたくさんありました。
✔ 探し物が見つけられない!
✔ 画用紙のすみっこに絵を描く。
✔ ちょっとした段差でも、飛び降りることを怖がる。
✔ 黒板や、計算ドリルの問題など、”書き写し”が遅い。
✔ 図形問題や、法則を見つけるなどの”思考力”問題がきらい。
Ocarちゃ~ん、
スヌーピーのTシャツがない~
どれどれ~
え、そこにあるじゃん・・・
ほらそこ、手の下!!
ほんとうだ~
どうして見つからなかったのかなあ~?
こっちのセリフじゃ~
なんていうことは日常茶飯事。
こんなたまごちゃんの日常に見られる「困りごと」の例を、サポート方法とともに解説してみました。
”見る力”はどんな時に使われている?
”見る力”とは、単なる視力の事ではありません。
見ることで得た情報を、理解し、組み立て、使うことです。見たものから、次に来るものや結果を「推理して、応用する」ことも含みます。
日常生活で使われる能力としては
✔ 地図や設計図を読む
✔ モノとモノ、モノと自分の距離を感じ取る
✔ 絵を描く・字を書く
✔ 箸やナイフ・フォークを上手に使う
✔ 「ここ」「そこ」「あっち」など、指示された場所を見る
✔ 部屋を片付ける
✔ 友達の顔色をみて、気持ちを推し量る
といったことがあげられます。
この中でも、「箸やナイフ・フォークを上手に使う」というのは、”見る力”と関係なさそう・・・と、意外に感じませんか?
実はこれも、”見る力”を多いに使っているのです。箸やフォークを使うとき、私たちは
1.食べ物の量や質を「見て」理解し
2.どのように手(箸やフォーク)を動かせば持ちあげられるか予測し
3.イメージの通りに体を動かす
という流れで動いています。まさに「視覚・運動協応」ですね。
このように、日常の「当たり前」の動作の中に、”見る力”は使われています。
つまり、見る力が弱い発達凸凹カラフルキッズは、この「当たり前」のことをこなすだけでも、他の子よりもかなり頑張っているのです。
彼らの脳が、とても疲れやすいと言われているのも納得ですね。
”見る力”の弱い子が苦手にしやすい3つの課題
文字を書くことが苦手!
見て、その通りに真似をすることができない。
ひらがな、カタカナ、漢字・・・ 文字を習うとき、どのように教えてもらいましたか?
お手本をよく見て、なぞってみようね!つぎは、お手本をよく見て、まねしてみようね!
と、ひたすら「見て、まねする」パターンの練習をしませんでしたか?
残念ながら、幼稚園や、学校での「書字の学習」は、この「視覚優位」な子に適した方法をとることがほとんどです。
”見る力”が弱いということは、「見たものを、その通りに写す」ことが苦手ということ。このやり方だと、ただ「できない」ことをくり返すばかりになり、練習すればするほど自信を無くすことになりかねません。
例えば、下の二つ。
お手本と、たまごちゃんが書いた「あ」の文字です。
決定的に間違っているところがありますよね。三画目の始まりが、一画目の横線を突き抜けてしまっています。
こんなにお手本と違うのに、何度「お手本をよく見て!」「違うところがあるよ!」と伝えても、正しく「あ」を書けるようにならないのが、”見る力”が弱いということです。
見た情報が入りにくい・・・だから聞かせる!
こんなにはっきり違うのに・・・この子どうして分からないの??と、しばらくは文字を書かせるのが本当に嫌になるほどでした。
でも、たまごちゃんは、”見る力”が弱い発達凸凹カラフルキッズ。苦手な部分は、得意な部分で補ってあげる必要があります。たまごちゃんは、言葉で理解するのが得意なので「文字のかたち」を言葉で説明してあげることにしました。
「あ」のかきかたは、こちらの記事で詳しく解説しています。
ひらがなの あ の書き方
かたちを言葉で説明し、頭で理解できると
文字の書き方がすぐに変わってきました。
3画目のスタート地点が
よこせんの下になりました
2画目の「たてせん」が
ふんわりながく書けるようになりました
すごいですよね!見ただけでは分からなかったことが、言葉で説明したことでしっかり理解できたことが分かります。
あ のかきかた
ひらがなの書き方プリントは こちらから
絵を書くこととは何が違う?
文字を書くのが苦手なら、絵を描くのも苦手じゃないの?私も最初はそう思いました。じっさいに、たまごちゃんは絵を描くこともとても苦手で、幼稚園の制作の時間を泣いて嫌がるほどでした。
では、知覚推理指標(PRI)が低い子は、絵が苦手か?というと、そういうわけでもないようです。
お子さんのお絵描きというと、「写生」や「デッサン」ではなく
「(絵日記など)場面を思い浮かべて描く」
「(お姫さま、おしろなど)イメージを思い浮かべて描く」 がほとんどではないでしょうか?
この場合、文字を書くときに必要な「目で見たものを、頭で組み立てて再現する」力とは、すこし違った力が使われているのです。
文字を書くには、「お手本通り」「同じかたちで写し取る」力が必要です。見て、理解して、手で再現する「視覚運動協応」ですね。
正解のある「文字を書く」ということと、正解のない「絵を描く、表現する」ということは、似ているようで全く違うということですね。
試行錯誤が苦手!
算数の”図形”問題でつまづきやすい。
たし算、ひき算などの計算は得意だったのに、図形の問題が出てきたとたんにつまづいてしまった・・・まさに、わが家のたまごちゃんが当てはまります。
見本と同じ図形を見つける問題で、同じ向き、同じサイズのものはわかるけれど、向きが変わると同じかたちだと気づけない。
図形として独立していれば見分けられるけれど、絵の中に隠れたりすると、とたんに見つけられない。
そんなに難しい課題とも思えないのに、どうして?と、なんだかとても不安に思ったことを思えています。
視点ややり方を、問題に合わせて変えられない。
この図形が苦手という特性、「読み取れない」というよりは、視点を変える、見方を変える、ひとつがだめなら、別の方法を試してみる。そういった、自ら進んで行う「試行錯誤」が苦手なイメージです。
大人がとなりで、「じゃあ、紙をこうして回してみるとどうかな?」や「上からみるとどうかな?横からみるとどうかな?」など、言葉で誘導してあげれば、気付くことができます。
「一人でじっくりと考える力」、「いろいろなやり方を試す力」などは、いわゆる「問題解決能力」にもつながる大切な力です。
計算の速さや言語能力、記憶力など、「テストの点数」に現れる「賢さ」とは別ですが、社会では、どんなことも「指示」があってやるとは限りませんよね。「やってみる」「考えてみる」ことでしか解決できない問題もあるのが現実です。これからの未来で、実は最も求められる能力かもしれません。
試行錯誤する力も、トレーニングできる!
”見る力”とは、一見関係なさそうな「試行錯誤する力」。
視点を変えてみる。やり方をかえてみる。ここまでがこうということは、次はこうかな?と予測してみる。そういう力も、実は”見る力”のトレーニングで、向上する可能性があります。
色々なタイプの課題をとり混ぜて行うと、色々な「考え方のパターン」が出てきます。さらに、それらの課題をくり返し行うと、「ここはこのパターンかな?」などと考えることができるようになります。
でもそこは、自信をつけにくい発達凸凹カラフルキッズ。まずはかんたんな課題からチャレンジし、
「できた!」「わかった!」をたくさん体験させてあげましょう。
現在一年生のたまごちゃんも、今は「絵探し」にはまっています。
おかあさん、
あの絵のやつのプリント、出して!
見通しをもつことが苦手!
こどもはみんな、今を生きる生き物・・・!「見通しを持つ」というのは、どんな子であっても、こどもである以上なかなか難しいことだと思います。
はやく寝ないと明日の朝がつらい!
はやめに宿題をやらないと、夏休みの最後が大変! など
分かっていてもできないのが普通です。
”見る力”の弱い子はどうかというと、こういった長期的な見通しを持つことができないだけでなく、ちょっとした予想・推論・計画 みたいなことも苦手です。
見通しが立たないことの、学習面での影響は?
算数や、図工などで「新しい問題」に向き合ったとき、どのようにその問題をとらえるかで「考えやすさ」「解きやすさ」に差が出ます。
この問題は、新しい問題だな。
あ、でもさっきとここが似ているから
こっちを変えてやってみたらできそうだな!
と思えるか
この問題は、やったことがないタイプの問題だな。
やり方を教わっていないから、できないな~
と思うかで、最初の取り組みに大きな差が出ると思いませんか?
「見通しを立てる力」というのは、過去の経験を、現在の課題に当てはめて検討する「応用力」でもあります。
”見る力”が弱い子は、新しい課題に向き合ったとき、「どうすればできそうか」という予測が立たないため応用問題が苦手になる傾向があります。
また、やったことのないタイプの問題に取り組むこと、挑戦すること自体に、ハードルを感じるのが特徴です。
やった時に、どうなるか。やることがどれくらい大変かが見通せないから、「やりたくないな~」という気分から抜け出せなくなるんですね。
見通しが立たないことの、生活面での影響は?
うちのたまごちゃんは、時々不登校。
朝の「学校行きたくないモード」はこの「見通しが立たない」特性で、長引くことがある気がします。
誰しも、朝学校に行くのだるいな~という日がありますよね。そんな日に、通常はその日の時間割などを思い浮かべ
今日は体育が2時間の日だから、
国語と算数だけがんばれば、残るは図工か~
あ、給食はカレーじゃん、よし!!
といった感じで考えられると思います。
たまごちゃんは、こういう「見通し」を持つのが苦手なため、「なんとなく行きたくないな~」から抜け出すきっかけが持てません。そんな時は、親が今日一日の流れを、具体的に説明してあげます。
たまごちゃん!今日は体育2時間もあるよ!
図工もえのぐを使って遊ぶ授業みたい。楽しそうだね~
給食は楽しみにしてたカレーだよ♪
体育は六年生も一緒にやるって言ってたんだった!
カレーだと、ぼく一番に食べ終われるんだよ~
こんな感じで、やっと「それなら行けそうかな・・・」に持っていけたり、いけなかったり(笑)
だって、見通しを立てる力 と 見通した現実と折り合いをつける力 はまた違うんですよね・・・
体育が2時間でも、給食がカレーでも、
今日はどうしても疲れちゃってて、学校に行けないよ!
・・・なんも言えねえ!
見通しを立てる力の、トレーニング方法
「見通しを立てる力」というのは、「段取り力」「戦略的思考」「仮説思考」などにつながります。
なんだか、ビジネス書を読んでいるようですが、大きな課題に取り組み、大きな成果を出すためには、絶対的に必要な力ですよね。
持って生まれたものや、成長過程で自然と身につく部分もありますが、意識的にトレーニングできる部分が大きい力でもあります。では、どのようにトレーニングするのがよいのでしょうか?
遊びでは、トランプやオセロ、ポケモンなどのカードゲームがとても良いトレーニングになります。
ブロックや積み木で、「今日は、ぼくたちだけの町を作ろう!」「今日は、夢のおうちを作ろう!」などと目標をもって遊ぶのも「プランニング力」を多いに育てます。
具体的な商品だと、「ころがスイッチ」や「ジオボード」は手軽に取り入れられる、よいおもちゃだと思います。
また、家事のお手伝いもとてもいいですね!特に料理は、大小さまざまな「段取り」が必要です。
さらに、色々なことを同時に行う訓練にもなります。
料理のお手伝い、となると「これをやって」「つぎはこれをやって」などと、細切れにひとつずつ指示を出してしまいがちですが、
✔ 何を作るのか
✔ そのためにどんな工程があるのか
✔ やってはいけないこと
✔ 困ったり、わからなくなったらいつでも聞いていいこと
を説明し、ある程度お子さんに「任せて」みてください。
もうその時、お子さんの頭はフル回転!一生懸命に段取りを考えて、行動しようとしています。
行動することで、お子さんの脳は成長します。だから、あまり手や口を出しすぎず、見守りましょう!
まとめと見る力の無料トレーニング
ここまで、”見る力”の弱い子の困りごとの例を説明してきました。でも、発達凸凹カラフルキッズも、十人十色(だからカラフル!)
WISC-Ⅳの結果も、もちろんひとそれぞれ。サポートの方法も、それぞれの凸凹に合わせて変える必要があります。
知能検査の結果、となるとついほかの子と比べたくなりますが、子どもの中の能力差=凸凹 に注目しましょう。苦手なところを、どう得意なところで補うか、家庭と学校でサポートできるといいですね。
”見る力”のトレーニング 無料プリント
たくさんの絵の中から、
指定の絵を探して数える練習です。
たくさんの同じ絵を
5こずつまとめて数える練習です。
注意して見る、集中して見る 練習です。
幼児さんの知育でもよくある「てんつなぎ」。
目と手をつなげることが苦手な子には、よいトレーニングです。
ちいさいお子さんのコグトレにも最適な、定番の”まちがいさがし”を用意しました。
”めいろ”は「集中して見る」「視野を広げる」「先を予測し、計画的に進む」など様々な種類の「見る」力を使います。
ちいさいお子さんでも楽しめるトレーニングです。
さいごに
わが家のたまごちゃんは、 知覚推理指標(PRI)が低いけれど、言語理解(VCI)や処理速度(PSI)が高いタイプ。
このサイトで紹介しているプリント類は、基本的にたまごちゃんのために作られたものが多いため、言葉で説明して理解を促すものや、見る力をつけるためのものが多くなっています。
その点、ご留意いただけますと幸いです。
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