こんにちは! Ocarです。
この記事は、わが子のワーキングメモリの弱さを指摘された、子どもが検査を受けたらワーキングメモリの指標が低かった、わが子のワーキングメモリを鍛えたい、子どもが飽きずにトレーニングを探している!
というママ・パパに向けて書いています。
ワーキングメモリとは何か?
ワーキングメモリとは、作業記憶・短期記憶 などとも呼ばれる、認知能力の一種です。
行う作業や動作に必要な情報を、一時的に脳内にとどめ(記憶)、整理して使い(整理)、終わったら不要な情報を消す(削除)能力です。脳内の「メモ帳」とも言える機能ですね。
子どもたちは、学校生活の中で常にこの機能を使っています。
先生の指示通りに行動することや、数字が3つ以上の足し算・引き算や、繰り上がり・繰り下がりなどにワーキングメモリを使っていることはよくわかると思います。
それ以外にも、突発的な出来事に対応する、複数の作業の優先順位を決めて行う(マルチタスク)、などもワーキングメモリを使っていると言われています。
ワーキングメモリが弱い子の特徴と困りごと
ワーキングメモリが弱い子の場合、例えば以下のような特徴が出てきます。
✔ 指示したことをすぐに忘れる
✔ 同時に複数の事ができない
✔ 消しゴムやカサをすぐに失くしてくる
✔ 繰り上がり、繰り下がりの計算で思った以上に苦労している
✔ 物事に集中できない
✔ 気もちの切り替えが難しい
発達障害の特徴に当てはまる点が多いですが、ワーキングメモリが弱い=発達障害とは必ずしも言い切れません。
この記事を読んでいるママ・パパの中には、先生や周囲からお子さんのワーキングメモリが弱い可能性を指摘された、お子さんが知能検査を受けたところ、ワーキングメモリの数値が低いと言われた、という方も多いと思います。調べてみると、発達障害の特徴にワーキングメモリの低さが挙げられていて不安になった、という方もいるでしょう。
発達障害という診断を受ける・受けないは人それぞれですが、お子さんに個性・特性がある、ということを理解することは重要です。このサイトでは、発達に凸凹があり、それに伴う特性とともに生きる子供たちをカラフルキッズと呼んでいます。
特性をもって生まれた大切なお子さんの「カラフル」な特性と、それによって引き起こされる「困りごと」に焦点を当てて一緒に対策を考えると、お子さんの「生きにくさ」が多少は改善されるかもしれません。
ワーキングメモリの弱い子に有効な対策
1.指示は一度にひとつずつ
ワーキングメモリに弱さがあると、複数の指示の内容を覚えることが難しくなります。
ランドセルを部屋にしまってから、手を洗っておやつを食べてね
おやついただきまーす!!
なんでやねん!
最後の指示から始める、などはワーキングメモリの弱いカラフルキッズのあるあるです。
こういった場合には、
ランドセルを部屋にしまってきてね
はーい
手を洗っておいで
はーい
ちゃんとできたね~!!さあ、おやつだよ~
やった~~♪
とするのが正解!
やってられーん!と思う気持ちもよくわかりますが、褒められることがあまり多くないカラフルキッズ。「言われたことをやる」「できると褒められる」という単純なくりかえしが、子どもたちの心にとてもプラスに働きます。ぜひ、声掛けの方法を変えてみてください。
2.忘れ物や、やることリストはテクニックでカバー
忘れ物や失くし物対策には、思い切ってテクニックを駆使しましょう。
✔ 忘れてはいけないものは、動線上に置いておく
✔ 持ち物は、親や先生が一緒にチェック
✔ やることリストを作って、一つずつチェックをしながら行う
✔ スマートタグなど、便利なツールを導入
などはいかがでしょうか?
記憶に頼らず、仕組みと記録に頼るというのは、誰にでもあるうっかりミスをなくすためにとても有効です。
いつも失敗ばかりで、自分を「ダメな子」だと思い込んでいる子も多いのがカラフルキッズです。一つずつ「やり方」を変えることで「僕にもできた!」を繰り返し、「できたら褒められた!」「次もこうやろう!」へとステップアップしていきましょう。
3.計算問題は、途中経過をメモ。文章題は一文ずつ順番に理解する。
ワーキングメモリが弱い子は、3つの数字の計算や文章題などでつまづく傾向があります。
3+5+1= という問題では、3+5を先に計算してから、8+1を計算しますが、このやり方では3+5の計算結果である「8」を一時的に覚えておく必要があります。
この時に、ワーキングメモリに弱さがある場合、次に来る数字「1」を見たときに、計算結果の「8」という数字が頭から抜けてしまう、ということが起こります。そのため、また最初から計算をやり直す・・・ということになります。
これを防ぐには、最初の計算結果「8」を小さくメモしてしまうことです。メモすることはルール違反ではありませんし、とても効果の上がる工夫です。
また、苦手な子の多い算数の文章題も、ワーキングメモリを駆使する課題です。
文章題を正しく解くためには、文章の中に出てくるいろいろな条件や数字を理解し、脳内で順序良く整理して使う必要があります。さらに、学年が上がるにつれて条件の数も増えるのでワーキングメモリの重要度は増すと言えます。
【問題】 子ども9人が、1れつにならんでいます。かずきさんのまえには5人います。かずきさんのうしろにはなん人いますか?
という問題があった場合、9人、1れつ、5人など数字が複数出てきます。
一度にすべての数字を目にしてしまうと、ワーキングメモリに弱みがある場合少々脳内がパニックになるかもしれません。
そういう場合、まずは文章の後半を隠しておき「子ども9人が1列にならんでいる」という文章を理解します。図や絵を見て理解することが苦手でなければ、内容を図に書くことも有効ですね。
前半を理解できたら、そこではじめて後半を読みます。ここでは「かずきさんのまえには5人います」という文章です。前半で図を書いていれば、前にいる5人をまとめるなどして、かずきさんの場所を確認することができますね。
ここまでくれば、あとはうしろにいる人数を数えるだけで答えが出ます。
長い文章を一度に理解することが難しい場合は、一つずつ理解する。
一つずつ理解するための手助けとして、見る必要のない部分を隠すというのは有効です。
ワーキングメモリは鍛えられるのか?
ワーキングメモリについては、世界中の研究機関で今日も研究が行われていますが、2024年現在、脳のワーキングメモリをだけを選択的に向上させることは難しいと言われています。
子どもたちにワーキングメモリのトレーニングを施す実験は過去にも多数行われました。繰り返すことで、子どもはやり方を学び、与えられたタスクをより早く、正確にこなすことはできるようになります。
ただ、そのことで「ワーキングメモリ」を必要とするその他様々なタスクがすべて得意になるということはなかったそうです。
ですが、子どもたちの脳は「ワーキングメモリ」を含めてすべてが発達の途上です。様々な課題に取り組むことで、知能全体・認知能力全体をより良く発達させることはもちろん可能ですし、その中には「ワーキングメモリ」ももちろん含まれます。
また、ペーパーテストで測れるような数値は劇的に向上しなくても、生活の中で確かにある「困りごと」を、トレーニングや対策の実施によって減らすことは確かに可能です。
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見て覚える、聞いて覚える、それぞれの練習ができる無料プリントをご用意しました!
最初に見本の絵を見せて、見本を伏せ、問題にある複数の選択肢から、絵を選ぶ練習です。
ゲーム性が高く、面白がってトライできると思います。
間違えることが嫌いなお子さんには、見せる時間を長くしたり、最初は見本を見ながらにしたりしてもいいですね。
最初に言葉や文章を聞きます。聞いて覚えた内容に基づいて、問題に答える練習です。
覚える内容は、単語から文章へとだんだん難しくなっていきます。
問題文の読み聞かせをママ・パパがやってくれると、親子の楽しい時間になりそうですね。ただ、そういう時間をとるのが難しい親御さんのために、音読データもつけてあります。QRコードから読み取って、ご活用ください。